抄録
歴史的建造物などを会議やイベントなどMICEの会場として貸し出し、特別感を演出するユニークベニュー(UV)が推進されている。文化財保護法の改正により文化財の活用が推進されるなか、保存への懸念は依然大きく、文化財を活用したUVの実態や計画・開発・運用は体系づけられていない。本研究では、京都市を中心に、差別化・意外性の観点からUVの実態を明らかにし、推進主体によるUVの計画・開発・運用における保存・活用の位置づけを解明することを目的とした。結果として、UVでは庭園・公園や寺院・神社が活用されており、その背景には伝統的な木造建築・庭園による他コンベンション施設や海外との差別化や想定使途と異なる意外性が推察された。政令指定都市の文化財保存活用地域計画では、活用に関する措置は少ないが、UVとしての活用と保存への再投資を位置付けた都市もあり、法改正の意図が汲まれていると推察された。京都市内の各機関によるUV開発では、市域の多数の文化財を生かした積極的なUV推進が見いだされた。二条城と長楽館は、UVとしての活用をそれぞれ収入源や動態保存として位置づけおり、保存と活用を両立していた。文化財を活用したUVとその再投資による保存・活用の好循環を位置づけ、その意義や経験に基づいて他都市や他施設が追従することが期待される一方、一様なUVは特別感を薄めるため、文化財ごとに差別化・意外性・制約といった個性をインベントリすることが肝要である。