抄録
実践政策学は何らかの技術を用いて人間と環境の関係性を変容させる方法を明らかとする学問と言える。本稿ではこの技術のひとつとして臨床心理学のアプローチに焦点を当て、臨床心理学のアプローチによって地域社会という環境と人間との関係性を変容させる方法を明らかとするために筆者が行った組織支援の事例を紹介した。事例ではこれまで筆者らが支援を実施したソーシャルヘルスアプローチを中心に臨床心理学のアプローチを組織支援へ活用した際の効果について検討した。加えて、支援対象を組織から地域社会へと拡張して臨床心理学を支援に活用する効果について考察するために、ソーシャルヘルスアプローチを中心に臨床心理学を地域社会支援へ活用した場合に、そのいくつかの特徴について想定される効果を解釈し、臨床心理学の地域社会支援への活用に関する方法についての可能性を検討した。