抄録
わが国の道路行政の目標は、財政的・空間的な制約の中で、既存の道路ネットワークを賢く使い、ストック効果を最大限発揮することである。そのためには、日々の道路交通実態を把握し、課題抽出から計画、実行、評価、改善というPDCAを回していくことが大切である。近年国土交通省が導入を始めたETC2.0プローブシステムは、これまで観測技術的・費用的な制約から困難であった道路交通実態の詳細かつ網羅的・広域的な把握を可能とし、今後の道路行政に大きく貢献すると期待されている。そこで本研究では、はじめに、ETC2.0プローブ情報の特性から、経路・旅行時間・ヒヤリハットなどの履歴を常時広域的に収集可能であるという利点を整理した。次に、ETC2.0プローブ情報が今後の道路交通実態分析や性能評価指標算出にどのように活用され得るか検討を行った。これを通じて、道路行政の目指すべき方向として掲げられている「円滑・エネルギー効率」、「環境・快適」、「安全・安心」、「地域活力・国際競争力」に対する各種道路政策の有効性を定量的に評価する際に、ETC2.0プローブ情報が有用であることが整理された。最後に、旅行時間信頼性およびヒヤリハット率についての実例分析を通じて、ETC2.0プローブ情報を用いることで道路交通実態がより具体的に把握可能となることを確認した。