抄録
近年、整備新幹線の全線開業が現実になろうとしてきているが、今後の基本計画線の着工にあたっては費用面での厳しい現実に直面する可能性がある。費用を抑えた新幹線整備の方法として本研究の関連研究で単線の新幹線システムが提唱されており、全線複線である場合に比べて軌道の総延長を約40 %低減させながらも、片道2本/時の運転本数と約150 km/hの表定速度を確保しうる新幹線システムの可能性が示されている。しかし、整備コストについては詳細が未調査であった。そこで本研究では在来線の建設請負実績資料をもとに単線区間と複線区間とでインフラの種類別に建設単価がどの程度異なるかを調査した。その上で、在来線における単線区間と複線区間との建設単価の比が新幹線用インフラについても同様であるとの仮定の下に、路盤区間、橋梁区間、隧道区間のそれぞれについて新幹線用単線インフラの建設単価を推計した。さらに、単線新幹線システムによる路線全体の費用を試算した結果、ミニ新幹線のように駅部は既存駅を活用しながらも駅間部分は単線仕様のインフラとした場合、フル規格複線が75.9億円/kmに対して単線新幹線システムは48.3億円/kmとなり、フル規格に比べて36.3 %コストを低減できることがわかった。