実践政策学
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実践政策学のためのエピソード記述の方法序論
森栗 茂一
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2017 年 3 巻 1 号 p. 53-60

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抄録
本論は地域研究、実践政策学のエピソード記述の方法について、仮説を提出することを目的とする。本論では、水俣病被害者のリアルな記述資料を使い、次のような記述表現・分析記述をした。①エピソード、地理的背景・歴史的背景・民俗的背景、考察に切り分けて記述した。②考察には、分析者の反省や発見(態度変容)を記述した。③命、生活、持続に焦点をあてて考察した。④読者の納得(読者の態度変容)が期待されるような考察をした。その結果、地域での漂白漁民差別が水俣病救済を遅らせたこと、近代工場の登場による地域分断が水俣病の遠因であったことを、明示することができた。これは、地域研究、実践政策学における質的研究の方法となりえる。
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© 2017 実践政策学エディトリアルボード
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