実践政策学
Online ISSN : 2189-1125
Print ISSN : 2189-2946
医療組織の安全文化に関する研究
加藤 淳
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 4 巻 1 号 p. 5-10

詳細
抄録
本稿では、「医療組織の安全文化」を醸成するための方策について論考したい。そもそも、安全文化とは何か。この問いについては、安全文化に関する議論において、多くの研究者らが同じ用語を用いているが、その意味する概念が異なることが多く、扱っている対象が「文化」という漠然としたものであるだけに、明確なものはつかみ得ていない。わが国においては、横浜市立大学附属病院(1999年)で医療事故が発生し、社会問題となったことから、医療安全が注目されるようになった。しかしながら、「医療組織の安全文化」を醸成するにはどうすれば良いのか。この問題については、多くの論者による論考が試みられているがその打開策は見出されていない。そこで、(Reasonおよび芳賀による)安全文化の議論を、レジリエンスとルース・カップリング(loose coupling)概念とを用いて、さらに高度化・精緻化させることにより、「医療組織の安全文化」を醸成するための方策として、新たな知見を提供するとともに、実践政策学としての「公的実践に役立つ知」に資することができたのではないかと考える。
著者関連情報
© 2018 実践政策学エディトリアルボード
次の記事
feedback
Top