抄録
本研究は認定看護師への支援を探求するために、認定看護師が役割を獲得するまでのプロセスを明らかにすることが目的である。認定看護師は、特定の看護分野で高い水準の技術と知識を使って実践する看護師である。認定看護師の役割機能の発揮には、役割開発の段階に応じた組織的な支援が必要だとされている。本研究は、5年以上の活動継続と役割機能を発揮している11人の認定看護師を対象に半構造化面接を行い、今まで把握されていなかった役割を獲得するまでのプロセスを修正版グランデッド・セオリー・アプローチで分析した。その結果、【組織に近づく】【実践に溶け込む】【自分の基準を創る】【先を見据える】【サポート授受の実感】の5つのカテゴリを生成した。そして、この一連のプロセスの核を成しているものは、【実践に溶け込む】ことであることがわかった。このカテゴリは実践を介した上司、同僚、他職種と関係性を構築しながら役割行動を具体化していくことで、自己認識を深めていく認定看護師の主体的な動きであった。また、このプロセスには看護部長からの〈垂直的サポートの意味づけ〉をすることが大きく作用していたことがわかった。