実践政策学
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集落形成・生業・地域行事からみた石垣島集落における地域住民の空間認識の特徴
山本 奏音福島 秀哉渡部 哲史
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2019 年 5 巻 1 号 p. 87-100

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抄録
近年、持続可能な観光戦略・地域戦略への見直しの必要性が指摘されている中、島嶼部を訪れる観光客数は増加し、環境、経済(観光)、地域社会のバランスが取れた持続可能な発展が求められている。地域住民の空間認識を通して地域社会の特徴を部分的にでも可視化・共有することは、観光戦略・地域戦略立案と地域社会の関係の議論を進めるにあたって、重要な役割を果たすと考えられるが、十分な知見が蓄積されているとはいえない。本稿では、石垣島の歴史を概観し、特徴の異なる7つの集落を対象集落として選定した上で、地域住民の生活空間に対する空間認識、特に基礎的なデータとなる集落の範囲と中心に関する空間認識の特徴を記述し、歴史や生業、地域行事などの地域社会の特徴との関係を把握することを試みた。その結果、地域の範囲の認識における階層的な境界を可視化し、その要因が地形、居住範囲、生業・土地利用、信仰、集落の境5つに大別できることを示した。また、地域の中心に関する空間認識から、地域行事の運営を担うコミュニティの単位や関連する各施設の場所性との関係性を指摘した。
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© 2019 実践政策学エディトリアルボード
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