実践政策学
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災害初動時における都道府県の機能強化に向けた制度上の課題に関する研究
近年の災害初動対応の経験を踏まえた考察
室田 哲男武田 文男
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2019 年 5 巻 2 号 p. 107-119

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抄録
大規模災害が発生した場合、まずは市町村が第一次的に応急対策を実施しなければならない。甚大な被害が見込まれる場合には、国も実動機関の応援部隊を速やかに派遣するなどの支援に乗り出すことになる。一方、都道府県には、市町村の支援・補完、広域調整、国等との連絡調整などの面で、大きな役割を果たすことが求められる。東日本大震災などの教訓を踏まえた制度改正に伴い、都道府県の役割は順次拡充されてきた。しかしながら、近年の災害対応の教訓を踏まえ、市町村、都道府県、国、防災関係機関が連携を密にして、より迅速・的確に対応していくことが求められており、そのためには、都道府県の責務・権限を強化することが望まれる事項が残されているものと考えられる。このような、残された制度上の課題と改善の方向性を明らかにするのが本稿の目的である。本稿では、まず災害対策基本法における都道府県の役割を整理するとともに、都道府県の役割を巡る最近の議論を概観する。次に、東日本大震災をはじめとする近年の大規模災害における初動対応の過程を、実務の観点から検証し、都道府県の役割のうち課題が残されているものとして、①市町村の災害未然防止活動に対する支援、②都道府県内の防災関係機関等との連絡調整、③国や実動機関との連絡調整・受援体制の構築の3点に着目し、現状と問題点を指摘する。そのうえで、課題解決のための制度上の課題を抽出し、改善の方向性を探る。
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