抄録
本研究は、犯罪者・被害者イメージがどのような構造を有するか、このイメージが「刑罰の厳罰化」、「刑罰の早期拡大化」、「治療の推進化」、「治療の早期拡大化」によって構成される刑事司法に対する態度とどのように関連するかを検討することを目的とした。まず予備調査では質的アプローチによって、犯罪者・被害者に関するイメージを包括的に収集した。その後の本調査では、予備調査で作成された項目を対象に因子分析を行なった。その結果、犯罪者イメージは「犯罪者ネガティブイメージ」、「境遇イメージ」、「更生可能イメージ」、被害者イメージは「苦境イメージ」、「ネガティブ感情イメージ」、「被害可能性の普遍性イメージ」、「被害者ネガティブイメージ」によって構成されることが示された。続いて、犯罪者・被害者メージと刑事司法に対する態度の相関を検討したところ、犯罪者・被害者の各イメージは刑事司法に対する態度の異なる因子と相関することが示された。最後に、上記の結果から得られる実践上の示唆として、政策の立案の際には、犯罪者・被害者イメージの両価性を考慮に入れる必要があることを論じた。