2008 年 1 巻 1 号 p. 21-26
IgGは免疫疾患の治療として用いられる一一方,関節リウマチでは,自己抗原となっている.最 近,RFよりも特異性・感受性の優れた抗CCP抗体が臨床的に用いられている.関節リウマチなどの 全身1生自己免疫疾患の病態が高サイトカイン血症であることが明らかになり,抗TNF抗体などが使 われるようになってきた.しかし,治療抵抗性を示す症例も存在し,これは抗TNF抗体と結合する FcγRの遺伝的多型性に依存することも明らかになってきた.1型糖尿病では抗CD3抗体による治療 が有効であるが,その副作用を減じるため,抗CD3抗体のFc部分を変異させたものが使われている. また,動物実験ではIgG4 hybrid moleculesを用いた自己免疫疾患の治療の試みも始まっている.こ のようにIgGの構造・その受容体であるFcγ受容体にっいて基礎的知識を再確認することは,生物 学的製剤を用いた治療に必須である.