抄録
全若年性特発性関節炎(JIA)の単純X線検査で観察される所見は,基本的には成人の関節リウ
マチ(RA)と同じであるが,小児の特殊性として,成長に関係する所見に注意を要する. RAのX線
評価法では,Steinbrockerのstage分類, Larsenによるgrade分類, van der HeljdeによるSharp変
法などが用いられるが,JIAに対する確立した評価法はまだない. JIAの単純X線像ではいくつかの
異常所見が混在することが多いが,多関節型は成人RAに類似し,関節裂隙狭小化や骨びらんなどの
所見が主体であるのに対し,全身型では骨粗霧や軟部組織腫脹などが主体である.また関節裂隙狭小
化を伴わない骨端部の不整像は全身型JIAに特徴的な所見であり,X線学的には骨端異形成の状態で,
軟骨内骨化障害の関与が考えられる.単純X線所見を詳細に検討することは病態解析に有用であり,
その他の手法とともに病態解明の一助となる.