抄録
ヒトの細胞内ではNod-like receptor:Nod様受容体(NLR)と呼ばれる分子が病原体構成成分
を認識するセンサーとして働いている.NLRの認識する病原体構成成分にはそれぞれ特異性がある.
最近『自己炎症性疾患』の原因の一部がNLRのアミノ酸の違いによることが報告された.例えばNod
2のアミノ酸変異がクローン病のかかりやすさに関係すること,ブラウ症候群や若年性サルコイドー
シスの原因であること,cryopyrinのアミノ酸変異が家族性寒冷葦麻疹/乳幼児慢性神経皮膚関節症
/マックルーウェルズ症候群の原因であること,cryopyrinとASCとの結合に競合的に作用するpyrin
の変異が家族性地中海熱の原因になることなどである.本総説では特にNLRを中心にしたシグナル
伝達経路に焦点を当て,NLRの機能と「自己炎症性疾患」とのかかわりについて議論したい.