小児リウマチ
Online ISSN : 2434-608X
Print ISSN : 2435-1105
IgA血管炎の治療中に急性陰嚢症を発症し 精巣摘除に至った4 歳児例
小森 慈海福島 啓太郎安藤 裕輔石井 純平山崎 弦植松 稔貴 稔貴戸倉 祐未神原 常仁桑島 成子中里 宜正 宜正釜井 隆男吉原 重美
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2019 年 10 巻 1 号 p. 11-15

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抄録
IgA血管炎は時に急性陰嚢症を呈するが,多くは外科的治療が不要とされる.IgA血管炎で治療 中に急性陰嚢症を発症し片側精巣を摘除した1 例を報告する.症例は4 歳男児,関節痛,腹痛, 紫斑を認め,IgA血管炎の診断で入院した.プレドニゾロン(PSL)投与で症状は治まり,PSLを漸 減中の第8 病日に左陰嚢の疼痛と腫脹が現れた.精巣捻転を否定できず緊急手術を行った.精巣 が暗赤色を呈していたため肉眼的に壊死と診断して左精巣を摘除し,右精巣を固定した.第11病 日に右陰嚢痛も現れた.画像所見で精巣への血流を認めたことから,保存的に治療したところ, 陰嚢症状は消失し右精巣が温存できた.摘除した左精巣の病理所見は精巣に壊死性変化を認めな いものの血管炎と出血を認めた.IgA血管炎に関連した急性陰嚢症の多くは精巣にまで病変がおよ ばないが,稀に精巣にも重大な血管炎を生じることがある.IgA血管炎の経過中に急性陰嚢症を呈 した場合,早急な画像検査と保存的治療による慎重な経過観察が必要だが,診断が不明瞭な時に は外科的介入も必要である.
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© 2019 一般社団法人 日本小児リウマチ学会
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