抄録
8歳女児.両側大腿部痛,両側上肢挙上困難で発症し,歩行困難となり当科入院した.典型的な皮
膚所見,重度の筋力低下と高CK血症(7,258U/L),大腿筋MRIで著明な筋炎所見を認め若年性皮膚
筋炎(juvenile dermatomyositis:JDM)と診断した.メチルプレドニゾロンパルス療法を導入する
も組織障害マーカーの上昇,血小板数低下,フェリチン値上昇がさらに進行し,マクロファージ
活性化症候群(macrophage activation syndrome:MAS)と診断した.発症時のIL-6とIL-18値は,
全身型若年性特発性関節炎合併MASに認められるものほど高値ではなかったが,ステロイド抵抗
性であり,シクロスポリン,デキサメタゾンパルミチン酸エステルによる治療が必要であった.
JDM合併MASの既報は少なく,その臨床的特徴は十分にわかっていない.本症は重度の筋炎によ
る筋原性酵素の顕著な上昇や,フェリチン上昇を抗MDA5抗体関連と推察したことが,診断の遅
れにつながった.