小児リウマチ
Online ISSN : 2434-608X
Print ISSN : 2435-1105
マクロファージ活性化症候群を合併した 若年性皮膚筋炎の1 例  
田中 理貴岸 崇之谷 諭美宮前 多佳子針谷 正祥永田 智
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2020 年 11 巻 1 号 p. 36-43

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抄録
8歳女児.両側大腿部痛,両側上肢挙上困難で発症し,歩行困難となり当科入院した.典型的な皮 膚所見,重度の筋力低下と高CK血症(7,258U/L),大腿筋MRIで著明な筋炎所見を認め若年性皮膚 筋炎(juvenile dermatomyositis:JDM)と診断した.メチルプレドニゾロンパルス療法を導入する も組織障害マーカーの上昇,血小板数低下,フェリチン値上昇がさらに進行し,マクロファージ 活性化症候群(macrophage activation syndrome:MAS)と診断した.発症時のIL-6とIL-18値は, 全身型若年性特発性関節炎合併MASに認められるものほど高値ではなかったが,ステロイド抵抗 性であり,シクロスポリン,デキサメタゾンパルミチン酸エステルによる治療が必要であった. JDM合併MASの既報は少なく,その臨床的特徴は十分にわかっていない.本症は重度の筋炎によ る筋原性酵素の顕著な上昇や,フェリチン上昇を抗MDA5抗体関連と推察したことが,診断の遅 れにつながった.
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© 2020 一般社団法人 日本小児リウマチ学会
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