抄録
高安動脈炎(TA)と潰瘍性大腸炎(UC)は多くの遺伝的因子を共有しており合併例も散見される.
難治性UCの治療中にTAを発症し,大腸全摘術を施行した女児例を報告する.
8歳で全大腸型UCを発症し,アザチオプリン(AZA),インフリキシマブ(IFX)で治療中,11歳2
か月頃より運動時の大腿痛,CRPの上昇を認めた.検査でUCの悪化を認めず,PET-CTで両鎖骨
下動脈などに集積を認め,TAと診断した.ステロイドパルス,AZA増量で寛解導入し,IFX6週
毎を継続した.11歳11か月時にPSL減量で血管エコー所見が悪化し,12歳1か月時にIFXをトシリ
ズマブ(TCZ)へ変更した.UC悪化のため12歳7か月時に大腸全摘術を施行し,術後は血管エコー
所見も改善してPSL漸減中である.
UC経過中の炎症反応上昇では,TA合併も念頭に精査を進める必要がある.UCに対するTCZの
有効性は明確ではなく,TA合併難治性UCでは大腸全摘術が有効な治療選択となり得る.UC合併
TAの最適な管理について今後検討が必要である.