2025 年 15 巻 1 号 p. 54-59
全身型若年性特発性関節炎(sJIA)の治療にはtocilizumab(TCZ)が用いられるが, TCZは発熱やフェリチン値上昇などマクロファージ活性化症候群(macrophage activation syndrome : MAS)の兆候を隠し, MASの合併を認識しにくくするため, その導入時期は慎重に判断する必要がある.今回, 血漿交換を含めた治療により病勢制御後, TCZを導入したsJIAを2例経験した.症例1は5歳女児.メチルプレドニゾロンパルス療法(IVMP)を3回実施するも解熱せず, IL-18高値のため血漿交換とcyclosporinA(CyA)投与を行った後にTCZを導入し, 病勢のコントロールを得た.症例2は12歳女児.IVMP中に血小板数の低下を認め, MASの合併が疑われたことから血漿交換とCyA投与を行った後, TCZを導入した.TCZ導入に先行しての早期の血漿交換が治療選択肢になり得ると考えられた.