小児リウマチ
Online ISSN : 2434-608X
Print ISSN : 2435-1105
症例報告
繰り返す頸部リンパ節炎が先行し, 病理組織診断を契機にSjögren症候群の診断に至った双胎例
池端 綾音宮前 多佳子長嶋 洋治山本 智子高田 献永田 智
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2025 年 15 巻 1 号 p. 60-67

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抄録

小児期一次性Sjögren症候群(Childhood-onset primary Sjögren’s syndrome, 以下pSS)患児では, 発熱, 関節痛, 皮疹, 頸部リンパ節腫脹などの腺外症状が診断の契機となることが多い. 幼児期からpSSの腺外症状と推察される頸部リンパ節炎の経過が先行してみられた症例を経験した. 症例は双胎でいずれも女子. 乾燥自覚症状はなく,頸部リンパ節炎を反復する都度, 軽度の白血球減少を認めていたことより亜急性壊死性リンパ節炎(subacute necrotizing lymphadenitis, 以下SNL)が疑われた.うち一例で頸部リンパ節生検が施行されたが,SNLに特徴的な壊死性リンパ節炎像は認めず, 自己免疫疾患の可能性を考慮し, 精査の結果, 2児とも血清抗SS-A/B抗体が陽性であり,pSSと診断された. 組織所見の見直しにより, 自己免疫疾患に特徴的なリンパ濾胞の増加と傍濾胞領域の拡大が確認された. 反復性または遷延する頸部リンパ節炎は自己免疫疾患を鑑別として含むべきであり,本例では病理組織所見が診断の契機となった.

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© 一般社団法人 日本小児リウマチ学会
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