抄録
Angiopoietin(Ang)1および2(以下Ang l/2)は血管内皮細胞機能の調節に重要な役割を果たして
いる.今回我々は全身型若年性特発性関節炎(s-JIA)に合併したMAS病態におけるAng l/2の役割
と血管内皮細胞障害の指標としての臨床的意義について検討した.s-JIA 25例(うち10例はMASを
合併),多関節型JIA 11例,健常小児(HC)15例についてAngiopoietin 1/2の血清中濃度をELISA法
で定量し臨床像と比較検討した.MAS合併時には急性期と比較し血清Ang-1濃度は有意に減少し,
Ang-2/1比は有意に増加していた. Ang-2/1比はMASを合併すると急激に上昇し,改善すると速やか
に低下した,Ang-2/1比は, MASの活動性を示すLDHおよびFDP-Dダイマーと有意な相関を示した.
Ang-1およびAng-2/1比はMASにおける血管内皮細胞障害の程度を反映し, MASの病勢を把握する
指標として有用であると思われた.