抄録
症例は20歳女性.15歳時に分類不能関節炎型の若年性特発性関節炎と診断され,メトトレキサー
トとエタネルセプト(ETA)の併用治療により寛解を維持していた. ETA開始3年後の19歳時に両
足底に掻痒感を伴う鱗屑性紅斑を認めた.皮膚生検では,過角化,錯角化,表皮の肥厚,表皮突起の
延長,海綿化,裂隙形成を認め,乾癬様皮疹と診断した.ETAを継続したまま,外用薬による治療を
開始したが改善に乏しく,4か月後にETAを中止し,トシリズマブ(TCZ)に変更したところ改善を
認めた.TNF阻害薬使用中に難治性の皮疹を認めた際には, TNF阻害薬の副作用としての乾癬様皮
疹の可能性を考慮する必要がある.