日本草地研究会誌
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飼料としての甘藷直播栽培に関する2〜3の研究
和気 日出男福永 満雄森山 起夫
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1960 年 6 巻 2 号 p. 109-115

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抄録
甘藷を特に飼料として蔓と藷をともに利用する場合の直播の効果を知るため,従来行われている挿苗栽培法と比較検討した。本試験においては農林1号を用いたためもあるが,直播栽培における藷の増殖は挿苗栽培にみられるような細根の肥大によるものでなく,ほとんど種藷自体の肥大によるものであることを認めた。したがってその形状は塊状奇型になるものが多く,その表皮もきわめて粗くなるため,食料藷としての商品価値はほとんどなくなるが飼料としてはなんら支障はない。また藷の収量も従来の挿苗栽培に較べて遜色なく,特に早堀の場合は直播栽培のほうが多収であった。蔓の収量も直播栽培のほうが多く,早刈りの場合あるいは生育期間中に何回か刈取利用する場合は直播したほうがはるかに有利である。種藷はあまり大きなものを用いることはかえって不経済であり,また施肥量も少ない場合特に直播のほうが収量の多い傾向がみられた。以上の結果から,甘藷の直播栽培は飼料としての甘藷栽培としては必らずしも不利ではないと考えられる。しかし前述のとおり直播栽培では種藷自体が肥大するため屑藷がほとんど生産さそない。したがって次年度の種藷としての小藷の生産方法あるいは種藷の熟度と収量の関係などについても今後調査を要するものと思う。
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© 1960 日本草地学会
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