抄録
アトピー性皮膚炎の40 歳,女性症例にナラティブセラピーを用いてその心理社会的な側面に主に電話とFAX で介入し良好な結果を得たので報告する。アトピー性皮膚炎にまつわる様々な不安を「ムンクの叫び」として外在化し,影響相対化質問を用いて明らかになったアトピー性皮膚炎にまつわるドミナント・ストーリーとそれに対抗する患者のリソースを「ゴッホのひまわり」として再著述してもらった。心理的には著効したがさらに皮膚症状の安定のためにはリ・メンバリングや定義的祝祭などの技法を用いて問題のないオルタナティブ・ストーリーをもっと分厚く書き換えていくことが必要と考えられた。(皮膚の科学,増18: 48-52, 2012)