フィナンシャル・レビュー
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公的医療制度における自己負担率と医療利用および健康
湯田 道生
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2023 年 151 巻 p. 154-180

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抄録
1961 年以来,国民皆保険制度を軸とした公的医療制度は,医療へのアクセスの公平性や提供される医療サービスの量と質の改善を通して,日本国民の健康水準や平均余命の向上に貢献してきたが,その一方で,その対価たる国民医療費は増加の一途をたどっている。医療保険制度における自己負担率の設定は,制度の効率化と持続可能性に資する一方で,健康で文化的な国民生活の維持や公衆衛生政策の在り方にも影響を与える。本稿では,日本のデータを使って患者の自己負担率の変化が医療利用と健康に与える影響を検証した経済学的な研究を中心にまとめ,現時点で明らかにされていることを整理する。加えて,個人の高齢者医療制度への移行に伴う自己負担率の不連続な下落の影響を,個人属性を豊富に含んだ個票パネルデータを使うことによって,その結果の頑健性について検討する。本分析の結果も含めて,医療需要の価格弾力性は総じて低く,また自己負担率の変化が健康に与える影響も総じて大きくないことが分かった。
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© 2023 本論文著者
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