フィナンシャル・レビュー
Online ISSN : 2758-4860
Print ISSN : 0912-5892
世代間資産移転税制と家計行動
新見 陽子
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2023 年 151 巻 p. 132-153

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抄録
本稿では,2013 年度税制改正における相続税および贈与税の改正が家計行動に与える影響について検証することを目的とする。まず,世代間資産移転税制に対する家計の反応について分析した国内外の理論・実証双方の先行研究を展望した上で,「国税庁統計年報」からの集計データを用いて今回の税制改正に対する家計の反応を検証する。理論モデルでは,親の遺産動機が世代間資産移転税制に対する家計の反応を決定づける主たる要因として捉えられている。他方で,実証分析においては,理論モデルが想定するように,家計は遺産動機に応じて贈与税の非課税枠などを活用した節税行動をとるなど世代間資産移転税制に対し一定の反応を示すものの,その程度は限定的であることが示されている。今回の税制改正の影響について集計データを用いて検証したところ,家計が大幅に遺産・贈与行動を変更したことを示すような傾向は確認されなかった。そのため,今回の改正が家計行動に過度な歪みをもたらしたとは考えにくく,一定の格差是正の効果が期待される。
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© 2023 本論文著者
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