フィナンシャル・レビュー
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世代間衡平と租税法
―租税・財政・社会保障―
神山 弘行
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2023 年 152 巻 p. 123-142

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抄録

 本稿では,まず現在世代が将来世代に対してどのような責任を負っているのかという点について,財政問題を念頭に議論状況を概観する。そこでは,①不法行為法の視点,②契約法の視点,③人類の連鎖の視点,④私よりもよい状況に(better than me)という視点,⑤現在の中位層よりも良い状況に(better than our current median)という視点が検討の対象となる。その上で,各論として(1)危機対応とその財源としての税負担の世代間配分,(2)租税法と社会保障法の交錯領域といえる社会保険料の賦課対象である「所得」について検討を加える。国民健康保険料や後期高齢者医療制度の負担水準を決める場面では,賦課物件が個人住民税の「所得」と連動していることから,その範囲と捕捉方法について,世代間衡平の視点から検討を加える必要がある。

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© 2023 本論文著者
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