フィナンシャル・レビュー
Online ISSN : 2758-4860
Print ISSN : 0912-5892
労働市場の流動化が雇用,賃金,および生産性に与える影響
工藤 教孝宮本 弘曉
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2025 年 161 巻 p. 4-27

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抄録

 本稿は労働市場の流動化が雇用,賃金,および生産性に与える影響を分析する。データの国際比較から,労働市場が流動的な経済ほど,生産性も賃金成長率も高い傾向にあることが確認された。これらのメカニズムを解明するために,解雇と解雇制限を組み込んだ労働市場サーチ・マッチングモデルを構築し,日本経済を対象とした数量分析を行った。分析の結果,解雇制限緩和に伴う労働市場流動性の上昇によって労働生産性が上昇することが明らかになった。さらに,この生産性上昇によって少なくとも長期的には雇用が拡大し賃金も上昇することが示された。興味深いことに,解雇制限の緩和に伴って失業者が増加する一方で,企業が新規労働者と迅速にマッチングする確率も上昇するため,失業率を悪化させる効果は数量的には限定的であることが判明した。

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© 2025 本論文著者
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