霊長類研究 Supplement
第23回日本霊長類学会大会
セッションID: B-13
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口頭発表
カリンズ森林のチンパンジーの食物パッチの利用パターン:生態学的要因と社会学的要因の検討
*古市 剛史橋本 千絵
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抄録
カリンズ森林保護区の野生チンパンジーを対象として、食物パッチの利用パターンを調べた。一本の果実樹を一つの食物パッチと考え、樹冠の面積と果実の密度を記録するとともに、最初のチンパンジーがその木に登ってから最後のチンパンジーがその木を去るまで、5分おきのスキャンでパッチ内の個体の行動を記録した。樹冠面積、果実密度、総果実量のさまざまな変数に対する偏相関係数を調べたところ、総果実量と食物パッチの利用個体数、総果実量と総採食ユニット数に有意な相関があることがわかった。一方、利用個体数と他の変数との相関を調べたところ、利用個体数が多いほど食物パッチの利用時間が長くなるが、個体あたり単位時間あたりの採食ユニット数は減少することがわかった。採食樹に集まって大きなパーティを形成したチンパンジーは、樹上で採食と休息・グルーミングを繰り返し、採食効率とは無関係に長時間滞在する。これらの分析から、豊富な食物を擁するパッチに多くのチンパンジーが集まって長時間採食するという生態学的要因と、集まったからには採食効率と関係なく社会交渉をもつという社会学的要因が、ともにチンパンジーの食物パッチの利用パターンに影響していることがわかった。
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© 2007 日本霊長類学会
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