霊長類研究 Supplement
第24回日本霊長類学会大会
セッションID: A-12
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口頭発表
霊長類感覚受容体の遺伝子多型
*今井 啓雄菅原 亨松井 淳郷 康広平井 啓久
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抄録
霊長類をはじめとする脊椎動物の感覚は、一次感覚細胞中に含まれる受容体蛋白質で特異的な刺激を受容することによって始まる。このうち視覚、嗅覚、味覚(甘味、苦味、うま味)ではG蛋白質共役型受容体(GPCR)によって光や化学物質などの刺激が受容され、それぞれGタンパク質を活性化することによって細胞内情報伝達カスケードを駆動し、細胞の応答に変換する。受容体の種類は視覚、味覚、嗅覚でそれぞれ数種類、数十種類、数百種類にのぼるが、それぞれの受容体の配列の微妙な違いにより受容される刺激も異なる。たとえば視覚受容体では一カ所のアミノ酸の変異により最大約20nmの吸収波長の変化を起こし、細胞の機能分化や環境適応の要因となっている(1,2)。また、味覚や嗅覚の受容体は種や個体によって遺伝子のレパートリーや偽遺伝子の割合が異なり、受容できる感覚刺激の種類に直結している(3-5)。そこで我々は霊長類の感覚受容体を網羅的に比較することによって、それぞれの種内・種間でどのような感覚受容能の違いがあるのか比較するとともに、行動・生理現象との関連を解明することを目指した。まず、主に霊長類研究所内の飼育個体を対象として味覚・嗅覚受容体遺伝子をPCRによって増幅し、塩基配列を比較した結果、味覚・嗅覚受容体共に個体間で様々な遺伝子多型が存在することがわかった。また、興味深いことに亜種間で非同義置換も存在し、遺伝的マーカーとなると共に機能的な差異を生じる可能性があることが示唆された。発表ではこのような受容体遺伝子の多型と行動・生理現象の多様性との相関についても議論したい。
1. Imai et al., J. Biol. Chem. 282, 6677-6684 (2007)
2. Sugawara et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102, 5448-5453 (2005)
3. Go et al., Genetics 170, 313-326 (2005).
4. Niimura and Nei, PLoS ONE. 2, e708 (2007).
5. Nozawa et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 104, 20421-20426 (2007).
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© 2008 日本霊長類学会
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