抄録
【はじめに】
ムカラバ国立公園にゴリラと同所的に生息するチンパンジーは、人づけの困難さから、ゴリラより調査が遅れているが、過去9年間の調査でかれらの生態の概略がつかめてきた。それを報告する。
【調査地と方法】
調査地はムカラバ国立公園北部である。森を踏査してチンプやその痕跡を探し、チンプを発見したら姿を隠して可能なかぎり追跡した。相手に発見されたら、姿をあらわして人づけを試みると当時にビデオで撮影し、個体識別の助けにした。フンは発見したら拾って、標準的な糞分析手法で内容物を調べた。
【結果と考察】
単位集団
20頭程度のひとつの単位集団がゴリラの調査対象集団(GG)のホームレンジを覆う形で生息していると思われる。遊動域の外縁は未解明。遊動域内には複数のゴリラ集団が存在する。調査域外にもチンプは連続的に分布する。集団の個体数、性年齢構成などは不明。識別個体は2頭のみで、繰り返し観察が少ない。遊動パターンについては、まとまりよく、オーディトリ・コンタクトのとれる範囲に大多数の個体がいるという印象をうける。採食パーティは3~5頭が標準的で、乾期と雨期とで大きな差はない。
食性
果実食:恒常的「ripe fruit persuer」である。Cissus dinklageiが年間を通じた重要食物である。イチジクを好んで食べる。糞中の果実の体積割合は年間を通してゴリラより高いが、食べる種数は多くない。果実の多い雨期には、フン中の種数ではゴリラに抜かれる。昆虫食:シリアゲアリ、ツムギアリを食べる。サスライアリやシロアリは糞から出てこない。棒を使ったハチミツ採食がよく見られる。動物食:あるが、頻度は少ない。おそらく獲物となる動物が少ないからだろう。