霊長類研究 Supplement
第24回日本霊長類学会大会
セッションID: P-05
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ポスター発表
DNA解析からみた野生チンパンジーにおける雌の移籍と移入雌間の血縁関係
*井上 英治井上-村山 美穂Vigilant Linda西田 利貞
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抄録
多くのチンパンジー集団は、雄が群れに残る父系社会である。雌の移籍は確認されているが、複数の隣接集団を長期連続観察している調査地がほとんどないため、その詳細についてはわかっていない。本研究では、タンザニア、マハレ山塊国立公園に生息している野生チンパンジー(Pan troglodytes schweinfurthii)を対象に遺伝解析を行ない、近隣の集団との交流状況、および移入雌間の血縁関係の解明を試みた。まず、遺伝交流を明らかにするために、M集団および近隣の集団を対象に、ミトコンドリアDNAの調節領域約450塩基の配列を決定した。M集団からは3つのタイプが検出され、近隣の集団からはM集団の3タイプを含む、4つのタイプが検出された。近隣の集団とM集団のハプロタイプ構成に大きな相違がないため、この地域の個体群は雌の交流があると考えられる。また、M集団に在籍している雌15頭(移入が確認された、もしくは移入した可能性のある個体)に姉妹が含まれているかを、マイクロサテライト8領域の遺伝子型の結果をもとにKinshipを用いて判定した。その結果、105ペア中6ペアが姉妹の可能性が高いと判定された。移籍雌間の血縁関係の解明は、長期観察でもわからない重要な課題であり、DNA解析が大きな力を発揮すると考えられる。
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© 2008 日本霊長類学会
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