霊長類研究 Supplement
第24回日本霊長類学会大会
セッションID: P-07
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ポスター発表
富山県に生息するニホンザルのミトコンドリアDNA変異
*赤座 久明川本 芳川合 静
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抄録
これまでの研究で、富山、新潟、長野、岐阜の中部四県の山岳地域に生息するニホンザルの群れから、ミトコンドリアDNAのDループ第2可変域(412塩基対)について、6タイプ(JN17、JN18、JN19、JN60、JN20、JN21)の塩基配列の変異を検出した。本研究では、このうち富山県に分布する群れから採取したJN18、JN19、JN20、JN21の4タイプの試料について、新たにミトコンドリアDNAのDループ第1可変域(475塩基対)を対象に分析し、塩基配列の置換を検索した。JN18については、岐阜県に分布する群れの試料についても分析した。 分析の結果、JN18からは3タイプ、JN20からは4タイプ、JN21からは3タイプのDNA変異を検出したが、JN19から変異は検出されなかった。これら11のハプロタイプについて、第1可変域と第2可変域を合わせた塩基配列(887塩基対)の置換を比較して類縁関係を再検討したところ、<JN20>、<JN21>、<JN18+JN19>の3つのグループに区別することができた。<JN20>は魚津市~黒部市にかけての小地域に生息するグループであるが、4つのハプロタイプは片貝川流域、布施川流域、黒部川流域の隣り合う河川ごとに分かれて分布していた。<JN21>は兵庫県から長野県にかけての日本海側に広範囲で生息する大きなグループであるが、3つのタイプは県内では早月川流域、黒部川流域、黒部川以東の地域に分かれて分布していた。一方、JN18は富山県滑川市、岐阜県小坂町、八百津町にかけて飛び地的に分布するグループであるが、それぞれ異なる3つのハプロタイプに細分された。富山県中部に分布するJN19はこの3つのハプロタイプと同程度の変異を示し、同じグループに位置づけられた。この結果をもとに富山県周辺での群れの類縁関係について検討する。本研究は、平成19年度京都大学霊長類研究所共同利用研究として実施した。
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© 2008 日本霊長類学会
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