霊長類研究 Supplement
第27回日本霊長類学会大会
セッションID: B-16
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口頭発表
チンパンジーにあってヒトにない染色体端部ゲノム不毛地帯:(1) 存在様式変異から推測される非相同染色体間末端組換え
*平井 啓久平井 百合子古賀 章彦鵜殿 俊史
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抄録
<目的>チンパンジーの染色体の75% (18/24対)は、端部にヘテロクロマチン領域をもつ。長さの総計がゲノムの 0.1% に相当するほどの大きな構造物である。ボノボとゴリラも同様である。これに相当する構造物はヒトにはみられず、ヒトとチンパンジーが分岐した後にヒトの系統で消失したものと、我々は考えている。この領域のDNAの主たる成分のひとつに、32 bp を単位とする縦列反復配列があり、StSat (subterminal satellite) 反復配列と呼ばれる。挿入メカニズムはまだ不明だが、ゲノム内の分散は減数分裂のブーケステージの染色体端部対合における、非相同染色体間の組換えによるものが、メカニズムのひとつと推測している。その推測を検証する目的で、先ず、染色体上の存在様式を明らかにした。
<方法>チンパンジーの染色体におけるStSatの存在様式を捉える目的で、チンパンジー40個体の体細胞染色体を、StSatクローンを用いてFISH解析した。
<結果>調べたうちの多くの個体は18対の染色体の両端部あるいは片端部にStSatの大きな塊を持っていた。しかし、幾つかの個体は、標準として存在する18対以外の染色体にも、端部にStSatの塊をもっていた。また、StSatの存在様式が両端あるいは片方だけである個体間変異も観察された。
<考察>今回解析した個体間比較において、StSatの存在様式に幾つかの異なる分布パタンが観察された。これは、減数分裂のパキテン期までに生じる「非相同染色体間端部組換え」の結果派生した変異であると推定される。今回、検出した変異の態様とゲノム内分布機構の仮説を示す。
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© 2011 日本霊長類学会
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