霊長類研究 Supplement
第27回日本霊長類学会大会
セッションID: B-25
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口頭発表
分光測色計を用いたマカク性皮色変化のCIELAB色空間における表示
*小野 英理鈴木 樹理石田 貴文
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抄録
 いくつかのマカク種では発情期にメスの性皮変化(腫脹かつ/または紅潮)が起こる。この性皮変化は性ホルモンによって調節され、メスの性皮色がオスの繁殖行動に影響するとの報告があるが、メスの妊性との関連は未解明な部分が多い。先行研究では性皮色測定にカラーチャートを用いることが多く、この方法では環境光の影響、スコアリング時の観察者の主観を排除できない。こうした潜在的な影響を除外するために、本研究では分光測色計(MINOLTA CG-411C)による色測定を導入した。評価に用いる色空間はCIELABである。CIELAB色空間は3軸(赤-緑、青-黄、明-暗)で構成されており、他の一般的な色空間であるRGBやCMYKよりも、視覚的な色変化と色空間内の数値変化との整合性が高く本研究に適している。アカゲザル(Macaca mulatta)9頭とニホンザル(Macaca fuscata)5頭を検索対象とし、非発情期(7月)と発情期(10月)に、同一個体の性皮色を測定した。アカゲザルとニホンザルで異なる色変化が見られ、CIELAB色空間の「青-黄」軸における増加が、アカゲザルのみで有意であった(t検定、有意水準5%)。今回の結果は、アカゲザルの血流変動がニホンザルよりも大きいことを示唆する。血流の増大は紅潮のみならず腫脹につながるため、ニホンザルの血流が変動しないことは、比較的高緯度に住み低温にさらされることのあるニホンザルにとって適応との関連から興味深い。以上から、分光測色計を用いた測定により、性皮色変化をCIELAB色空間において客観的に表示でき、近縁なマカク種間で紅潮の違いを検出できた。CIELAB色空間表示の導入は、今後の性皮色研究において重要な手法であることが示された。
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© 2011 日本霊長類学会
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