抄録
一般に火成岩の重元素安定同位体組成は変動しないが、Srなど一部の元素では有意な変動が報告されている。火成岩のδ88Sr変動には、斜長石の分別結晶作用が関与している可能性が指摘されているが、マグマ分化とSr安定同位体分別は直接に関連づけられていない。本研究ではマグマ分化過程でSr安定同位体分別が生じている事を実証する目的で、単一の花崗岩体に対してSr安定同位体分析を系統的に行った。
只見川古期花崗岩は、ハーカー図上で単一のトレンドを形成し、95.3 Maに相当するRb-Sr全岩アイソクロンを形成する事から、単一の親マグマの分化によって形成したと考えられる。そのδ88Srには0.27から-0.74と非常に大きな変動が見られた。δ88SrはSr濃度の減少とよく相関して減少する。これは、マグマの結晶分化によってSrが連続的にマグマから取り除かれる過程でSr安定同位体分別が生じている事を示す。