霊長類研究 Supplement
第27回日本霊長類学会大会
セッションID: P-47
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ポスター発表
追い払い頻度が異なる集落間におけるニホンザルの警戒度の差異
*山田 彩
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抄録
 いくつかの動物種では、危険からの逃避を開始する距離(FID)を最適化することが知られている。本研究では、地域住民によって「被害対策」としてロケット花火や銃器による追い払いが行われているニホンザル一群を対象に、FIDの違いを性年齢ごと、集落ごとで比較した。
 性年齢別の差異では、オトナメスとオトナオスが人間までの距離が短く、コドモのうち0-2才の幼齢個体と0才を連れたメスでは人間に対しより長い距離で逃げ出すことがわかった。
 また、集落間での差異は、ロケット花火・銃器いずれによる追い払いも行われない集落では、他の集落に比べてFIDが有意に短かった。ロケット花火による追い払いのみが行われる集落では性年齢ごとに差はなかったが、銃器で追い払いが行われる集落ではコドモと0才を連れたメスのFIDが長かった。逃げ出す時に取っていた行動によるFIDの差はどの集落でも見られなかった。
 これらの結果から、幼齢個体は人に対して警戒度を保っているものの、成体になるにつれ、警戒度が下がることが示唆された。また、隣り合う集落という近距離の間でも、人に対する警戒度を変化させうる、ニホンザルの行動の可塑性が明らかとなった。
 さらに、追い払いを行なわないと、FIDが極端に短くなることから、被害対策としての追い払いの効果が実証された。さらに詳細な分析結果とともに、より効果的な追い払い方法について考察する。
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© 2011 日本霊長類学会
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