霊長類研究 Supplement
第28回日本霊長類学会大会
セッションID: P-44
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ポスター発表
クモザルのパーティ内の個体の広がりに見られるバリエーション
*下岡 ゆき子杉浦 秀樹Link AndresDi Fiore Anthony
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抄録
 群れ内の個体の凝集性は、社会構造を決定づける重要な要素である。凝集性を維持することは、活動を同調させ、移動における群れの意思決定を測る上で重要である。クモザルは離合集散する群れを作り、パーティのサイズや構成は流動的である。本研究では、クモザルの1つのパーティ内における凝集性にどのようなバリエーションが見られるのかを明らかにする。
 エクアドル・ティプティニ生物多様性センター内に生息する野生ケナガクモザル(Ateles belzebuth belzebuth) MQ-1群を対象として野外調査を行なった。2人あるいは3人の観察者がそれぞれの対象個体を同時に追跡・観察し、活動や発声、パーティメンバーを記録すると同時に、GPSを用いて位置を自動的に記録した。このデータを元に2個体間の水平距離を算出したところ、一まとまりのパーティと捉えられる区切りは75 m付近にあることが明らかとなった。そこで0~75 mまでの同じパーティにいると考えられる2個体間の距離が、パーティ内の個体数、構成、移動、休息、採食といった活動内容によってどのように異なるのかを検討した。その結果、移動の際は採食・休息に比べて個体間距離が長いこと、採食においても、採食する植物の種類や分布状況によって個体間距離が異なることが明らかとなった。移動や採食の際の2個体間距離はパーティサイズに影響されたが、休息の際はあまり影響されず、休息時の個体間の凝集性が非常に高いためと考えられた。
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© 2012 日本霊長類学会
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