霊長類研究 Supplement
第28回日本霊長類学会大会
セッションID: P-14
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ポスター発表
ニホンザル分岐神経の解析
*時田 幸之輔
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抄録
 ニホンザルに於いて,腰神経叢と仙骨神経叢の境界である分岐神経(Jhering)と腰神経叢との関連を観察した. また,下部肋骨の形態もあわせて観察した.
 分岐神経を起始分節の高さからL5群,L5+L6群, L6群の3群に分けた.分岐神経起始分節は,上方からL5群,L5+L6群, L6群の順で尾側へズレると言える. 最下端の肋間神経外側皮枝(RcL)の起始分節はL5群でL2,L5+L6群でL2+L3,L6群でL3であった. 最下端の標準的な肋間神経前皮枝(Rcap)の起始分節はL5群でL2,L5+L6群でL2+L3,L6群でL3であった. L6群においては第1腰椎の肋骨突起が肋骨(腰肋)となっている例もあった.
 以上より,分岐神経を中心とした下肢への神経の起始分節が尾側へズレると,胴体(胸腹部)に特徴的な神経であるRcap,Rclの起始分節も尾側へズレ,さらに尾側へズレると腰肋が形成される(腰椎の胸椎化)と言える.
 筆者は,ヒト腰神経叢および下部肋間神経の観察を行ってきた. その結果,ヒトにおいてもニホンザル腰神経叢と同様な変異が存在することを明らかにした(2010,2009,2008). いずれも胴体の延長に関連した変異であると考えたい.
 Aoyamaらはニワトリ胚胸部に四肢を誘導すると,遠位肋骨胸骨部ができなかったと報告しており,腰椎に肋骨が形成されないのは肋骨原基を利用して四肢骨形成するためであると報告している.
 このAoyamaらの報告と筆者の所見を総合して考察すると,下肢が体壁上で尾側へずれて形成される(下肢への神経の起始分節が尾側へずれる)と,最下端の肋骨原基を下肢骨へあまり使わなくなるので最下端の肋骨の長さが延長し,さらに下肢が尾側へずれると, 第一腰椎の肋骨原基も使わなくなるので,腰肋が形成されると解釈できる.
 本研究は京都大学霊長類研究所の共同利用研究として実施された.
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© 2012 日本霊長類学会
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