霊長類研究 Supplement
第28回日本霊長類学会大会
セッションID: P-24
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ポスター発表
分娩前後における飼育下ニシゴリラ (Gorilla gorilla) の夜間行動の変化
*田中 正之宝田 一輝長尾 充徳釜鳴 宏枝山本 裕己
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抄録
 私たちは飼育下のニシゴリラの行動についての理解を深めるべく、これまで報告例のほとんどない、夜間の動物舎内での行動の観察をおこなってきた。対象としたのは、京都市動物園で飼育されているニシゴリラ(Gorilla gorilla)2個体で、1年にわたる観察から、各個体の平均睡眠時間や睡眠時間の季節による変化などを見出した。さらに、飼育員が退室して消灯された後でも、夜中に起き出してきて、餌の残りを拾ったり、水を飲んだり、排便をしたりといった行動をおこなっていることも見出した。さらに、メスのゲンキは、2011年12月21日0時12分に出産をした。出産から4日間は赤ん坊を抱いていたが、赤ん坊の衰弱が激しく、やむなく母親から離して人工保育に切り替えられた。この機会に、出産前後に母親であるゲンキの夜間の行動がどのように変化していたかを分析した。観察には、ゴリラの居室に取り付けた監視カメラの映像を用いた。観察期間は、出産前の2011年12月9日から出産日である2011年12月21日まで、および赤ん坊を分離した12月25日から31日までであった。各日の夕方の17時から翌朝の8時までの15時間を、録画ビデオを再生するソフトウェア(QNAP VioStor Player)の動き検出機能を用いて、夜間に動きが検出された時刻を記録した。この記録をもとに、睡眠時間や夜間に起き出してくる活動内容、さらに寝ている姿勢から起き上がるといった大きな姿勢変化の間隔について分析した。その結果、出産の2日前にあたる12月18日の夜まで、各日の睡眠時間の平均値は12時間46分で、以前の観察時の結果と差はなかった。しかし、出産の前日の19日の夜になると、30分未満の短い間隔で寝たり起きたりを一晩中繰り返しており、まとまった睡眠時間をとっていなかったことがわかった。出産後の25日には、出産2日前以前の状態とほとんど変わりない状態に戻っていたことも分かった。これらの「平常時」の行動を分析すると、約59分(中央値)の間隔で姿勢変化が見られていた。
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© 2012 日本霊長類学会
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