霊長類研究 Supplement
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
セッションID: D2-1
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口頭発表
ニホンザルにおける親和的意図を伝えるコンタクトコールの使用とその反応の発達
*勝 野吏子, *山田 一憲, *中道 正之
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抄録
 マカク (Macaca spp.)やヒヒ (Papio spp.)が用いる穏やかなコンタクトコール (short low coo, grunt, girney)には,緊張状態の生じやすい状況において敵対的な意図を持たないことを示し,円滑な社会交渉を促進する機能がある (Silk 2002).このコンタクトコールを効率的に用いるには,個体間関係に関する知識や社会交渉の経験が必要であると考えられる.しかし,音声行動に学習が関わるかどうかについて,警戒音に関しては多くの証拠が得られているものの,親和的な音声に関しては研究が少ない.本研究は,親和的な音声行動に学習が必要であるかを明らかにすることを目的とした.具体的には,コンタクトコールの状況に応じた使用とそれに対しての反応を,年齢の低いニホンザル (Macaca fuscata)は発達に伴い習得するのかどうかを検討した.嵐山 E集団 (京都市)の 0-5歳齢メスとその母である成体メス計 30頭を対象とし,穏やかなコンタクトコールと社会交渉を記録した.コンタクトコールを用いる場面について年齢で比較すると,成体メスは非血縁メス接近する際には血縁メスに接近する際よりもコンタクトコールを用いた割合が高かった.一方 5歳齢以下のメスは相手との血縁関係によりコンタクトコールを用いた割合に違いはなかった.また,3歳齢以下のメスは年齢の高いメスとは異なり,相手個体が接近の際にコンタクトコールを用いたかどうかにより,相手に対して親和的な行動を行った割合に違いは見られなかった.これらの結果は,年齢の低い個体はコンタクトコールを状況に応じて用いていないこと,相手がコンタクトコールを用いた場合には親和的な交渉を行いやすいことを理解し,反応してはいないことを示している.未成体期から準成体期には母以外の成体との社会交渉が増加することから,他個体との社会交渉の経験を通じ,コンタクトコールの使用と反応を習得するのではないかと考えられる.
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© 2013 日本霊長類学会
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