霊長類研究 Supplement
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
セッションID: D2-3
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口頭発表
勝山ニホンザル集団のハドルを形成いおける毛づくろいの役割
*上野 将敬, *山田 一憲, *中道 正之
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抄録
 霊長類は毛づくろいによって,様々な利益を得る.ニホンザルは,冬期には他個体に体を密着させ,ハドルを形成する.ハドル形成にも,毛づくろいが用いられているのではないだろうか.また,幼い子を抱いている母親は,体温を保持しやすいと考えられる.幼い子がいるメスは,子のいないメスに比べて,ハドルを形成する必要が小さいかもしれない.本研究では,勝山ニホンザル集団を対象に, 1) 幼い子がいるメスは,子のいないメスよりも,冬期にハドルを形成する頻度が少ないのか,2) 幼い子のいないメスは,相手に毛づくろいを行ってハドルを作っているのかを検討する.
 勝山ニホンザル集団 (岡山県真庭市))の 5歳齢以上の成体メス全 55頭を対象とした.2012年 4月から 2013年 2月までの期間に,17頭の成体メスを対象に個体追跡観察を行った.0歳齢か 1歳齢の子がいるメスを子持ちメス,他のメスを子のないメスと定義した.
 冬期には,子のないメスは,子持ちメスよりも,休息時に他個体とハドルを形成する頻度が多かった.次に,ハドル形成前の行動を調べると,ハドル形成前に毛づくろい交渉が行われていたことが多かった.相手に毛づくろいを行った場合と相手から毛づくろいを受けた場合に,毛づくろい後ハドルが形成される頻度を調べた.子持ちメスでは,どちらの条件でも,ハドル形成頻度は低かった.子のないメスでは,毛づくろいを行った場合は,受けた場合に比べて,ハドルが形成される頻度が多かった.また,子持ちメスでは,毛づくろいを行った後,役割交代が行われたかどうかによっては,ハドル形成頻度に違いはなかった.しかし,子のないメスでは,役割交代がなかった場合のほうが,役割交代があった場合よりも,ハドルが形成される頻度が多かった.以上より,冬期に子持ちメスは,他の成体メスとはあまりハドルを形成していなかった.一方で子のないメスは,相手に毛づくろいを行ってハドルを形成していた.
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© 2013 日本霊長類学会
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