霊長類研究 Supplement
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
セッションID: D2-10
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口頭発表
半野生ボルネオオランウータンにおける雄の二型成熟と繁殖成功
*田島 知之
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抄録
 オランウータンの雄には,頬ヒダなどの二次性徴を発達させた巨大なフランジ雄と,このような二次性徴を持たないアンフランジ雄という 2つの形態が存在する.アンフランジ雄は二次性徴の発達を停止しているものの生殖能力を既に有しており,フランジ雄はアンフランジ雄の配偶行動を完全に排除することが不可能であると考えられている.本研究では,アンフランジ雄の配偶行動が実際に繁殖成功に結びつくかを調べる目的で行われた. 2010年 12月から 2011年 4月にかけて,ボルネオ島マレーシア領サバ州のセピロク・オランウータン・リハビリテーションセンターの森林保護区内において,自由生活下にある半野生ボルネオオランウータン(Pongo pygmaeus morio)の雄 4頭(フランジ雄 1頭,アンフランジオス 3頭)と当時発情可能であった雌 2頭を対象として個体追跡法による直接行動観察を 252時間行い,雌雄間で起こった近接,交尾,性器検分について記録した.その後,行動を観察した 2頭の雌が出産した子 2頭と調査時に既に生まれていた子 2頭を含めた 22頭から DNA試料を採取し,11領域のマイクロサテライトマーカーを用いて父子判定を行った.行動観察から,アンフランジ雄が発情雌との交尾に成功しており,フランジ雄が発情雌を独占不可能であったことがわかった.父子判定から,4頭の子のうち 2010年に生まれた 2頭の父親かは対象とした雄の中には存在せず,2011年以降に生まれた 2頭の父親は対象個体のフランジ雄であった.発情雌と交尾をしていたアンフランジ雄は繁殖には成功しておらず,フランジ雄がより高い繁殖成功を収めていた.本研究で観察されたアンフランジ雄の交尾が繁殖成功に結びつかなかった理由として,発情雌の受胎確率が低い時期に交尾が行われた可能性が考えられる.
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© 2013 日本霊長類学会
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