霊長類研究 Supplement
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
セッションID: E1-4
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口頭発表
アズマモグラ Mogera imaizumiiの個体間血縁度の推定
*佐藤 真*村田 知慧*吉田 賢治*玉手 英利
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抄録
 哺乳類の多くの種では性特異的分散がみられるが,地中生活者であるモグラ類は地域スケールでの行動調査が困難であるため,分散パターンに関する知見は限られている.この問題に取り組んだ村田ら(2008)の先行研究では,アズマモグラ(Mogera imaizumii)の性特異的分散の有無を検出するために,山形県の2集団において,マイクロサテライトマーカーを用いて個体間の血縁度が算出された.その結果,1集団ではメス個体間の平均血縁度が,集団内の平均血縁度よりも有意に高くなり,オス個体間の平均血縁度は有意ではないが低くなる傾向が見られた.このことから,オス特異的分散が示唆されたが,使用した血縁度指標r(Queller & Goodnight ,1989)の varianceが大きいことと,調査対象集団数が少ないことから,明確な結論を得るまでには至らなかった.
 そこで本研究では,新たに山形県の 1集団のデータを加え,2008年以降に頻用されるようになった血縁度指標 6種類を用いて,再解析を行った.各指標で血縁度を算出し,ランダマイゼーションテストによってオス・メスグループ内の平均個体間血縁度の有意差検定を行った.その結果,3集団全てにおいてオス間とメス間で血縁度の有意な違いはなかった.以上から,アズマモグラにおいては,顕著な性特異的分散はないことが示唆された.
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© 2013 日本霊長類学会
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