抄録
イタチ科のニホンアナグマ(Mele anakuma),イヌ科のタヌキ(Nyctereutes procyonoides)とキツネ(Vulpes vulpes)は,同所的に生息する中型食肉目である.3種は巣穴を利用し,出産育児を行っていることが知られている.これまで痕跡や 3~ 5箇所の巣穴の自動撮影により,3種の繁殖を確認しており,同時にどのような繁殖が行われているのか比較できなかった.2013年 3月より,山口県山口市の市街地に隣接する調査地約 10_2の巣穴 26個所に,自動撮影カメラ(動画 30秒)を設置した.巣穴は,出入り口が 3ヶ所以上ある巣穴または,掘り返しなどメンテナンスが行われている巣穴を選んだ.約 20日間隔で電池と SDカードの交換作業を行った.利用する動物の特定を行い,巣穴周辺での行動の解析を行った.2013年 3月~ 6月に, 4箇所の巣穴でアナグマの繁殖, 2箇所の巣穴でキツネの繁殖,3箇所の巣穴でタヌキの繁殖が確認できた.これらの繁殖はすべて違う巣穴で行われ,出入り口が 3ヶ所以上ある巣穴であった.2012年からの継続調査巣穴では,2012年アナグマが繁殖した巣穴で,2013年にはキツネが繁殖した.2012年には繁殖に利用せず,2013年にアナグマ繁殖に利用した巣穴があった.年間を通して休息など巣穴を利用するのはアナグマのみであるが,タヌキは年間を通して巣穴周辺でにおいを嗅いだり,巣穴に出入りしていた.3種の巣穴周辺での行動の比較と,繁殖について報告する.