抄録
リュウキュウイノシシ(Sus scrofa riukiuanus)は奄美群島及び琉球諸島に生息する固有亜種であり,沖縄県 RDBでは情報不足(DD)に指定されている.リュウキュウイノシシの繁殖期について,年 2回(春季,秋季)の繁殖期をもつと考えられているが,その詳細な季節及び年変動についての情報は乏しい.沖縄島北部地域におけるリュウキュウイノシシの繁殖期の季節・年変動の把握を目的として,3年間のカメラトラップ調査の結果を用いて分析を行った.なお,本研究は沖縄島北部地域生態系保全事業における在来生物の生息実態把握を目的とした調査の結果を用いた.
調査は,沖縄島北部地域を対象に,2010年から 3年間で計 1,170地点に自動撮影カメラを設置した.設置期間は,1地点につき 3週間を目安とした.リュウキュウイノシシが撮影された場合,撮影日時,幼獣・成獣の別を記録した.なお,連続撮影による過大評価を防ぐため,同一種が 30分以内に撮影された場合は同一個体と見なし,撮影回数 1回として集計した.
3年間の調査の結果,幼獣は 6月~ 9月(春・夏季),11月~ 1月(秋・冬季)に撮影され,撮影回数は 7月が最も多くなった.また,幼獣の撮影状況は年度ごとに異なり,2010年度には 7月~ 9月のみの撮影となった.これより,リュウキュウイノシシの繁殖は春季にもっとも盛んになり,秋・冬季の繁殖については年によって繁殖状況が異なることが示された.