霊長類研究 Supplement
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
セッションID: P-110
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ポスター発表
北海道・襟裳岬におけるゼニガタアザラシの秋サケ定置網の医療頻度と利用範囲
*増渕 隆仁*小林 万里*相崎 翔*清水 隆行*瀧浪 脩平
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抄録
 北海道・襟裳岬ではゼニガタアザラシ(Phoca vitulina stejnege;以下,本種)の個体数増加に伴い,秋サケ定置網での漁業被害が拡大・増加している.しかし,秋サケ定置網に混獲・来遊してくる本種の行動,齢構成などは不明瞭な部分が多かったため,2011年度に,襟裳岬の上陸岩礁に近い秋サケ定置網 4ヵ統で超音波テレメトリー調査を実施した.その結果,当歳に比べ 1歳以上の個体が何度も同じ定置網へ来遊し,定置網の構造・操業時間を学習していることが示唆された.また,受信機を設置しなかった定置網で発信機装着個体の混獲もあり,本種の定置網期の全体的な利用範囲の把握に至らなかった.そこで,本研究では,受信機の設置範囲を広げることで本種の定置網への利用頻度や範囲を把握することを目的に,設置型超音波テレメトリー手法を用いた.超音波受信機は襟裳漁協管轄の秋サケ定置網 19ヶ統に,2012年 9月 6日から 11月 20日までの計 76日間設置し,発信機は計 14頭(当歳 5頭 /1歳以上 9頭)のアザラシに装着した.
 上陸場から東側の定置網では全ての定置網で滞在が確認され,上陸場から近い 5つの定置網に滞在が集中していた.その中でも特に滞在が多かったのは,上陸場から一番近い 1番目の定置網と 5番目の定置網であった.5番目の定置網のように上陸場から離れた定置網に滞在を繰り返しているのは,近くにアザラシの新上陸場の存在も考えられた.西側は上陸場に一番近い定置網に集中しており,それ以外の西側定置網への滞在はなかったが,実際には被害の発生があることから,西側の定置網を常習的に利用する個体の存在が推察された.また,1歳以上の個体が何度も繰り返し定置網を利用しており,その平均滞在時間は 10月が一番高く,秋さけの漁獲量のピークと重なっていた.そのため,広い範囲の定置網を餌場として常習的に利用していることが示唆された.
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© 2013 日本霊長類学会
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