霊長類研究 Supplement
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
セッションID: P-180
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ポスター発表
マーモセット盲腸における味覚情報伝達分子群の発現解析
*権田 彩*松村 秀一*斉藤 正一郎*郷 康広*今井 啓雄
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抄録

 近年,味覚受容体が舌だけでなく消化器系やその他の臓器にも存在していることが,各種哺乳類において報告されている.本研究では,ニホンザルとコモンマーモセットを中心に, RT-qPCR法を用いて,味覚情報伝達に関わるであるGタンパク質 α -gustducinとTRPM5,および各種味覚受容体などの存在量を定量解析した.その結果,コモンマーモセットで特異的にこれらの mRNAが,盲腸や大腸などで,舌と同量もしくはそれ以上に発現していることが確認された.また,免疫組織染色法を用いて,これらのタンパク質が存在している細胞の特定を試みた結果,特徴的な細胞に陽性シグナルが観察された.
 コモンマーモセットで観察された盲腸・大腸における味覚情報伝達分子群の特異的な発現は,マカクに加えてリスザルやヒヒなどでも観察されなかったことから,霊長類の中でもマーモセット科に特殊な現象である可能性が高い.マーモセットは樹脂や樹液を摂取し,盲腸で発酵することが知られている.盲腸における味覚情報伝達タンパク質群の発現は,この食性に関係しているかもしれない

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© 2013 日本霊長類学会
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