2025 年 25 巻 3 号 p. 3_1-3_19
構造ヘルスモニタリングシステムへの適用を目的とし,地震発生直後の建物各層の損傷度を5段階で推定するディープラーニングベースの手法について検討し,精度分析を行った.検証データは,文部科学省が実施した大型振動台実験の鉄骨造18層の試験体を対象とした24,385ケースの地震応答解析における各層の加速度および損傷度の時系列データを用いた.検証実験では,シーケンス認識および画像認識のタスクにおいて先端的なパフォーマンスを発揮するRNN,CNN,CRNN,Transformerベースのモデルを用いて,ハイパーパラメーターの最適化および損傷度推定精度の評価を実施した.さらに,既往の大型振動台実験の加振結果を用いて,学習したモデルで推論し,損傷度推定手法を検証した.結果として,地震応答解析のデータを用いた精度分析ではTransformerベースのモデルの精度が最も高い結果となった.大型振動台実験結果を用いた損傷度推定の検証では,Transformerベースのモデルによる推定が実験結果と異なっており,その原因として地震応答解析における解析モデルの整合範囲や加振レベルによる影響であることが示された.