霊長類研究 Supplement
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
セッションID: A3-1
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口頭発表
中国南部の広西壮族自治区から出土した更新世大類人猿遊離歯化石のサイズ変化
*河野 礼子*張 穎奇*金 昌柱*高井 正成
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抄録
 中国科学院古脊椎動物・古人類研究所の金昌柱博士が中心となって進めてきた広西壮族自治区崇左地域の更新世の洞窟堆積物の発掘調査により,これまでに 14の洞窟からオランウータンやギガントピテクスの遊離歯化石が出土している.最も古い百孔洞が後期更新世(約 220万年前),新しいものは後期更新世(約 10万年前以降)と考えられている.巨大な化石類人猿であるギガントピテクスの標本はこのうち年代が古いと考えられる 8つの洞窟から見つかっているが,後期更新世以降の洞窟からは発見されていないので,おそらく中期更新世の末期から後期更新世の初頭にかけて絶滅したものと思われる.一方,オランウータンは全ての洞窟から化石標本が見つかっており,中国南部では完新世まで生き残っていたらしいことが示唆される.
 ギガントピテクスについては,時代が新しくなるにつれて歯冠サイズが大きくなったとの可能性が従来から指摘されている.一方でオランウータンは古い時期の化石種が大きく,後の時代の化石種ではよりサイズが小さくなったと言われている.今回,崇左地域の 14の洞窟から出土した約 300点のギガントピテクスと約 600点のオランウータンの遊離歯化石資料について,歯種を同定してノギス計測し,時代変化の様相を検討したところ,オランウータン,ギガントピテクスのいずれに関しても,従来から指摘されているような大きさ変化が大まかな傾向としては認められた.ただし洞窟ごとの個体変異の幅も非常に大きく,種レベルの変遷の有無などについてはさらに慎重に検討する必要がある.
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© 2013 日本霊長類学会
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