霊長類研究 Supplement
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
セッションID: A3-2
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口頭発表
東アジア・シベリアに分布するアカネズミ属APodemus3種の外部・頭骨計測部域の地理的変異:緯度に対する関係
*金子 之史
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抄録
 タツアカネズミ Apodemus draco,オオミミモリアカネズミ A. latronumおよびハントウアカネズミ A. peninsulaeは東アジア・シベリアに広く分布する(Kaneko, 2012).3種の外部形態・頭骨計測値の地理的変異の報告はpeninsulaeのシベリア産以外にはない(Vorontsov et al.,1977).演者は国内外の自然史博物館と個人所蔵標本の約 860頭の性的成熟個体を用い,3種の地理的変異(外部形態・頭骨それぞれ 3計測値と1比率)を緯度との関係で解析した.各地方(local)個体群における性的成熟個体は,その個体群内における顕著な乳頭をもつ雌個体あるいは肥大した副精巣尾部をもつ雄個体のうち,最小のI-M3(頭骨切歯先端~第 3臼歯後端間長)の大きさ以上とした.各種ごとの各地方個体群はその産地により,国別,省別(中国),および大河川の走行と地形的な繋がりによって,dracoでは 11地域(region)に,latronumでは 5地域に, peninsulaeでは 8地域に分けた.3種における各計測値・比率の各地方個体群別平均値と緯度との相関は,全体の地域とともに上記の各地域内(1地域内に 3地域個体群以上を含む場合)において調べた.ただし,peninsulaeではロシアを除いた全地域も調べた.その結果,全体の地域としては,緯度に対して負の相関(逆ベルグマンの規則)は,dracoではHBL(頭胴長)TL(尾長)RTL(尾率)CBL(頭蓋基底全長),および I-M3に, また peninsulaeでは Ratio[C-M1(後頭顆後端,~第1臼歯,前端間長),× 100/I-M3]にみられた.いっぽう,正の相関(ベルグマンの規則)は latronumの CBLとHFL(後足長)に,また peninsulaeの HBLと HFLにみられた.
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© 2013 日本霊長類学会
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