霊長類研究 Supplement
第32回日本霊長類学会大会
セッションID: P17
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ポスター発表
ワンバの野生ボノボにおけるオスの血縁構造
石塚 真太郎川本 芳坂巻 哲也徳山 奈帆子Heungjin RYU戸田 和弥古市 剛史
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抄録

霊長類の社会を理解するためには、個体間の血縁関係や集団間の移籍、集団継承の仕組みを明らかにすることが必要である。特にヒトと同じく父系社会を形成するボノボとチンパンジーの社会を遺伝的エビデンスに基づいて比較することは、ヒト科の社会の進化の解明にとって大きな意味を持つ。これまでの両種に関する遺伝学的研究の多くは一集団を対象として血縁関係等を明らかにしており、隣接する複数集団を扱った研究については、チンパンジーにおいて一つあるだけである。両種の隣接する複数集団を対象として血縁等を明らかにすることは、チンパンジーで敵対的、ボノボで融和的と集団間関係が両種間で大きく異なる理由の解明にもつながると期待できる。そこで本研究では野生ボノボの隣接3集団を対象とし、集団内および地域個体群内のオスの平均血縁度を調べて比較することにした。コンゴ民主共和国ルオー学術保護区ワンバ村周辺に生息する3集団のオトナオス23個体について糞70サンプルおよび尿6サンプルを採取した。サンプルはLysis bufferで常温保存し、DNAを抽出した。常染色体上のマイクロサテライトマーカー8座位について遺伝子型の決定を試みた。それらの結果から、PE集団内のオス間および地域個体群のオス間の平均血縁度を算出した。本発表ではその結果を報告し、集団内と3集団全体との比較から、ワンバ地域個体群のオスの血縁構造を明らかにする。

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© 2016 日本霊長類学会
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